新ロゴ_s.png

いのちと地域を守る津波防災アクション

「カケアガレ! 日本」は、東日本大震災の被災地・東北発の新しい津波避難プロジェクトです。

イベント01

2014年2月16日実施

Case01 津波避難のための、防災・減災シンポジウム

「カケアガレ!日本」では、宮城県岩沼市・山元町での避難訓練を通して得られた知見をもとに「津波避難のための、防災・減災シンポジウム」を開催しました。当日は、被災地に暮らす住民の方を始め多くの参加者を迎え、地域や人にあわせたこれからの津波避難のあり方について具体的な実例をご紹介いただきました。後半では、実例をご報告いただいた各関係者の方が参加してパネルディスカッションを実施。シンポジウムの参加者からは防災に関する積極的な質問が出るなど、本取り組みへの関心の高さが伺えました。

最初にシンポジウムの開会にあわせて、根本復興大臣によるご挨拶がありました。被災地ではインフラや住宅の整備が進む中、官主導から民主導の復興へとフェーズが図られつつあること、またその中で、地域の実情にあわせた避難訓練を実施する「カケアガレ!日本」の取組みを東北から世界に発信し、ひとつのモデルケースとして欲しいという期待の言葉が寄せられました。


01.JPG
続いて東北大学災害科学国際研究所の平川所長の言葉。「江戸時代からの歴史資料のデータを取っていくと、宮城県沖の同じような震源地から平均で38年間隔で規模の大きな地震が起こっていることが分かっています。津波に関しては、1611年に慶長奥州地震津波という大きな災害以来、大小はあれど計8回宮城県を襲っています。つまり宮城県において、歴史上かなりの頻度で災害は起きており、普段からどう災害に備えていくかが大切になると考えています。今回の震災を受けて国交省の調査によると、あの大きな揺れを体感した上で「津波が来ないと思った」「ほとんど考えなかった」という方が、5~6割にのぼるというデータが出ました。これは、調査対象の方のそれぞれの過去の体験から、大津波警報が出ても大きな津波が来なかったから今回も大丈夫、という判断からきていると予想されます。今回「カケアガレ!日本」の取組みとしては、地震が起きたらとにかく高いところに逃げましょう、という行動を起こしていただくこと、そして避難する文化を育て普及させていくこと、それが非常に大切だと感じております。」


各自治体や東北大学、避難行動要支援者への取り組みを行う企業からの報告では、それぞれの立場の違いや町の特性にあわせた防災・減災活動について発表いただきました。

02.JPG
報告①、株式会社ミライロの民野さんによる「避難行動要支援者の津波避難誘導」について。「私たちは、震災における要支援者(障害のある方、高齢者の方、移動弱者・情報弱者など)との向き合い方について考えております。今国内で暮らす要支援者の方々は、高齢者では3,101万人で人口の約24%。障害のある方で言えば788万人で人口の約6%。また、ベビーカーを押すお母さんなど3歳未満の子供を抱えている方は約315万人いて、すべて合わせると約3分の1もの方々が、震災が起きた時に早急な避難に困ることが予想されます。私たちの取り組みとしては、被災地でのヒアリングなどを通して避難行動要支援者の震災時の課題を調べ、その対応について考えていきながら誘導避難プログラムを作成しております。そして、例えば気仙沼市では住民の方が防災訓練などに参加し、実際に車いすに乗っていただいたりなど、障害のある方などへの接し方を周りの方に知っていただくための活動を行っております。」


03.JPG
報告②、東北大学災害科学国際研究所の安部先生による「車を使った津波避難」について。「まず大前提として、「カケアガレ!日本」としては車避難を推進しているわけではありません。東日本大震災でも地震発生後に車避難にトライされた結果、多くの方が逃げ遅れて車の中で命を落とされているという実情があります。それでも車避難をしないと逃げ切ることが難しい、例えば高台が遠いですとか、高齢者の方や障害者の方のように自力で遠くの避難場所に行けない方も多くいらっしゃいます。そういった方の命を守る手段として車避難をより効果的に考えていく一例として、宮城県山元町で実施した車を使った避難訓練をご報告します。当日は、山元町の浜通りの平野部から少し高い丘の上の地域まで車で多くの方が避難するといったことにトライしていただいています。あわせて、例えばダンプトラックのような復興事業の工事関係の方にも参加いただいたことが大きな特徴です。結果、渋滞が起きてしまって、シミュレーション上津波避難が間に合わなかった方がいるなど、避難ルートや手法の見直しが必要になりました。このように、地域、町の形によって避難できる車の数には恐らく限界があります。そういったことを検証していきながら、今後も車避難について探っていきたいと考えております。」

04.JPG
報告③、岩手県釜石市防災危機管理課の猪又さんによる「津波避難における釜石市の取組み」について。「釜石では、これまで過去に大きな津波を体験してきました。そのたびにハード、トフト面と両方の対策を講じてきました。今回の震災に関しても想定はしておりましたが、想定した以上の規模の津波が起こり多くの建物・人的被害を出してしまいました。今後の防災対策として、東日本大震災の時も防災行政無線は作動していましたが、切迫性、あるいは状況説明が不足していたのではないか、また伝達手段の多様化が必要ではないか、と考えています。まず大前提に揺れたらまず避難。これを徹底させるため、切迫性を持った非難を呼びかけることを防災無線で見直しています。次に防災教育という点では、これまで釜石では小中学校の子供たちを対象に津波避難訓練を行ってきました。その教育は具体的なもので、地震発生から何分以内に決められた避難場所に行こう、ということを設定してやっていました。その結果、子供たちが助かっただけでなく、子供たちが周りの大人を巻き込んで避難を促したため、これまでの防災教育が役立ったと考えています。今後は、各学校で子供たちで防災マップを作るなど、より実践的な防災教育が進んでいます。そして、その子供たちが大人になっても、地震が起きたらまず避難、という行動を起こせるような人材になってほしいと考えております。」


05.JPG
報告④、南三陸町立歌津中学校の及川先生による「歌津中学校における避難所運営訓練」について。「歌津中学校では、防災学習の一環として避難所運営訓練を中心とした防災訓練を行っています。具体的には、津波避難訓練後に自分たちの歌津中学校の体育館が仮想の避難所となり、自分たちで役割を見つけて協力して避難所の運営にあたる実践的な訓練活動です。例えば、生徒の誰かがリーダーとなって運営本部を設置し情報を集約する機能を作る、避難者を地区ごとにまとめ名前を書いて連絡ボードを作る、具合が悪くなった方やケガをした方の救護にあたるなどです。これらの疾病者などの役割はあらかじめ本校PTAの方々にお願いしてありますので、生徒は消防署員の方々の指示の下に、事前に訓練していた技能などを活かして対応していくことになります。このように避難所運営訓練というのは、大人の避難訓練に子供が参加するものではありません。生徒が30年後、大人になったという事を想定して生徒が主体となって行うもので、教員や大人たちは極力本番当日の指導は行っておりません。そのため子供たちはいろいろな場面で判断ミスや失敗をしますが、それを想定したうえでの訓練です。」



シンポジウム追加写真.png各先生方の報告が終わった後、休憩をはさんでパネルディスカッションを行いました。東北大学災害科学国際研究所の今村副所長の司会により、3つのテーマで話し合いが行われました。「地域の特性や、学校特性、企業の特性が、津波避難訓練やそれに準じた活動に対して、どう影響して活かされているか?」というテーマでは、歌津中学校の及川先生は、防災教育協力者会議などが開かれ、地域の人々が学校に対してとても協力的であることを挙げました。学校から子供たちに防災の意識を植えつけることで、今度は子供から家庭へ、そして地域へと発信できるという仕組みができていると話します。このように、さまざまなテーマで各地域が抱える課題や事例を取り上げることで、「カケアガレ!日本」ではその他の自治体の活動に応用したり参考にしたりできると考えています。


◆実施概要
(1)日時:2014年2月16日(日)13:00~16:00
(2)場所:KKRホテル仙台 2F蔵王
(3)実施内容
13:00~
ご挨拶(復興大臣 福島原発事故再生総括担当:根本 匠)
基調講演「避難することが命を守る」(東北大学災害科学国際研究所 所長:平川 新)
カケアガレ!日本の取組み紹介(河北新報社)
13:40~
報告①「避難行動要支援者の津波避難誘導」(株式会社ミライロ 副社長:民野 剛郎)
報告②「車を使った津波避難」(東北大学災害科学国際研究所 助手:安部 祥)
報告③「津波避難における釜石市の取組み」(岩手県釜石市 防災危機管理課 防災係長:猪又 博史)
報告④「歌津中学校における避難所運営訓練」(南三陸町立歌津中学校 主幹教諭:及川 敦)
14:55~
パネルディスカッション「地域特性に応じた津波避難、その課題と対策」
<コーディネーター>東北大学災害科学国際研究所 副所長:今村 文彦
<パネリスト>
南三陸町立歌津中学校 主幹教諭:及川 敦
株式会社ミライロ 副社長:民野 剛郎
東北大学災害科学国際研究所 助手:安部 祥
岩手県釜石市 防災危機管理課 防災係長:猪又 博史
16:00
閉会挨拶

LinkIcon開催概要PDFLinkIcon開催告知PDF


TOP > イベント一覧 > イベント事例01

「カケアガレ! 日本」とは?

「カケアガレ!日本」とは?の紹介を動画で見ることができます。

Case04 「陸前高田市」の場合

2015年2月26日、陸前高田市で行われた模様を、動画で見ることができます。

Case03 「タイ・プーケット」の場合

2014年6月18日、タイ・プーケットのパトン地区で行われた模様を、動画で見ることができます。

Case02「宮城県山元町」の場合

2013年8月31日、宮城県山元町で行われた模様を、動画で見ることができます。

Case01「宮城県岩沼市」の場合

2012年9月1日、宮城県岩沼市で行われた模様を、動画で見ることができます。